今月号への投句から代表的なものをご紹介します。
梅の実のこつんと屋根に夜の静寂 川村智香子
小流れの闇に黙して落ち椿 瀬戸美代子
白木蓮花嫁衣装縫いあがる 田畑ヒロ子
待ち人の来たるが如く初桜 黒田緑
かたばみの実に叩かれる程の罪 小林ひろこ
草笛を吹き少年は沈思せり 桜庭義昭
寝返りの漏れる吐息の春愁 佐藤友美
春暁や今を裁ち切る鋏欲し 清水勝子
怪士の影も遊びぬ春の月 菅沼とき子
本日は早仕舞して夜桜へ 菅原淑子
布巾晒す風新しや聖五月 須田聡子
改憲論やにはに耳に春寒し 髙橋俊彦
クレソンを掬いて洗うロボットよ 田辺かつら
春の波光のつぶてまきちらす 筒井尚子
老鶯の飛び入りもあり謡い会 寺部良樹
桜まじ新開店のマックに列 中江映水
会釈して思い出せぬ名花曇 中村理起子
静かにと言いたい程の百千鳥 白水溟舟
体内に春水めぐる断酒かな 長谷川昭放
筍の料理指南はスマホにて 林晄司
花冷の路地に誦経のとよもせり 広田妙子
停戦のニュース聞きつつ花見舟 藤本博夫
桃の枝伸びやかにあり織部床(どこ) 星一義
苺パフェ今日は動かぬ観覧車 増島光月
秋韆へ少女羽化してしまいけり 松本淳子
会者定離桜の記憶それぞれに 真野けんすけ
春うらら踊り出す空AIRCABIN 三嶋恭子
桜まじ見知らぬ街へ誘いたり 妻鳥芳子
六甲の夜景恋しき初夏の日々 𠮷川美智子
茎立つや何を思ったか万葉読む 渡辺正剛
大海原の一本釣や初鰹 安藤靖
海苔焙る誰にも少し裏表 飯塚喜久雄
貴女が目標と言ってた友が春に逝く 池田ミツ子
花は葉に樹齢語りし五十年 石井きよ子
躑躅咲くペルシャ絨毯の回廊 石井千代子
草野球弾むボールに春の土 石井政治
田に水の浸みて四月の光だす 市川めぐみ
雪晒空に細胞裏返す 伊藤キララ
燃えさしの尽きる迄待ち春霞 井上蕾兄
退院の母の笑顔に風光る 煎本美知子
春の雷つづく巨人対ヤクルト 岩楯惠津子
はらはらと桜しゅくしゅくと齢かな 岩城庸子
袖通すことなき背広更衣 大野遍路
給食は「まだかまだか」と新入児 岡田典代
挫けても立ち直れるよ紙風船 岡田雅江
今日あたり筍届く胸算用 岡部和恵
いま落ちた椿の命拾ひたり 長田美恵子
若草や仔犬に初のドッグラン 川杉三千子
転入のA子はちよつとヒヤシンス 木村邦子
柿若葉おそるおそると髭そる子 小島翠
露舌研ぐとくさ欲しさに苗木植う 宮本康子
街路樹は若葉ただいま退院す 加納昭広
山藤や山のあちこち揺れており 竹家良輔
みちのくの桜前線追う旅に 小沼登
このままに永遠にと思う朝寝かな 佐野紀子
雨上がりほんのり香る春の土 山崎仁
バス中の出会い一刻春の宵 常盤律子
新入生色取りどりの夢背負う 川上千秋
追いかけて手渡す銀の春日傘 生井みち
蜜蜂の脚重たしや花粉団子 木下明浩
春霖や四方山話に長居する 飯塚みどり
石楠花や恋の季節か真赤っか 石井ツトム
昼酒だ葉桜の道友と行く 今井章博
白鷺や脚を揃えて飛び去りぬ 池田幸雄
世界中争い止めて花咲かそ 太田靖彦
観覧車見下ろす街は花吹雪 北風千映弥
花終えて北の郷から花便り 佐藤与一
ついと目を巡らせ探す初音かな 髙島章生
チューリップあっけらかんと自己開示 髙橋純子
ゆらゆらとめまいのごとく五月晴れ 高松千恵子
西行忌古道に見出すひとつ星 長谷川健明
老老看護冷めたコーヒー春を待つ 馬場陽子
身中に花の冷えあり眉をひく 堀野悦子
初蝶や衣干す身に纏はるる 門馬邦勝
高原のオープンカフェに夏の蝶 山内弘子
名水の池畔に映えるツツジかな 吉田榮治
八十八夜含むヒマラヤの天水 → 八十八夜天水を含むヒマラヤ
泥つまみ川辺飛び交ふ初つばめ → 泥つつき川辺飛び交ふ初つばめ
ジャズバーでコロナビールを弟と → ジャズバーで「コロナビール」を弟と
終幕は真赤な薔薇と「マイウェイ」 → フィナーレは真赤な薔薇と「マイウェイ」
朝日浴ぶ目覚める大地初蝶来 → 朝日浴び目覚める大地初蝶来
未来図や曲線多し花曇 → 未来図に曲線多し花曇
魚跳ねる春の川沿ふ遍路道 → 魚跳ねる野の川沿ふ遍路道
顔俳句会 〒249-0001 神奈川県逗子市久木8-19-47
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